医療法人にのさかクリニック理事長/国際ホスピス・在宅ケア研究所 二ノ坂 保喜
よりそい法律事務所開設に寄せて
おめでとう!福祉と心理を大切にする法律事務所の誕生!!
出会い
10年ほど前のある日、若い青年が患者さんを連れて当院を訪れました。先天的な障がいを持つその女性は、数年来医療から遠ざかっていましたが、彼女に必要な医療的なケア依頼のためです。母子家庭で、他に身寄りのない彼女のために当院を頼ってきてくれたのです。もちろん彼女のケアを引き受け、その後親子で通院することになりました。こんな親身の弁護士がいるんだ、と心を打たれました。それが市丸健太郎さんでした。
二度目の出会いは、飛行機の中でした。席も空いていたので、彼は私のそばに移ってきて話しかけてきました。羽田から福岡空港までの間、彼は私の活動のこと、在宅ケアのことなど、ずっと熱心に聞いてくれました。珍しい人がいるもんだ、とここでも感心しました。
それ以後、ときどき会ったり、相談したりするようになり、一緒に酒を飲む機会も持つようになりました。
法律と医学
実は私も、高校時代に弁護士を目指し、少しばかり法律の勉強をしたことがありました。結局医学の道を選んだわけですが、市丸さんを見ていると、弁護士の道を選んでいたら、どんな生活だっただろう、とふと思います。医師として長く過ごしてきた今では、医学の、特に臨床の色々な場面で、法律家から学ぶべきものは大きいのではないかと考えています。
法律事務所を開設するにあたって彼は、福祉と心理に重点を置きたい、と熱心に語っていました。学生時代から、福祉に関心を持ち、障害児・者への支援活動などを行っていた市丸さん。当院に患者さんを紹介してきたのは、彼にとっては、「困った人を放っておけない」という自然な心情だったのです。
福祉と心理を大切に
「よりそい法律事務所」という変わった名前の法律事務所がスタートします。そこでは法律の専門家である市丸さんと、心理の専門家である奥さんとが皆さんの色々な困りごとの相談を待っています。法律に基づいて、正義を振りかざすのではなく、困り事を一つ一つ解決WIN―WINの関係を築いていきたいという市丸健太郎さんに大きな期待を寄せています。